地域をつなぐ、旅の玄関口

2018年1月7日

「今まで意識していたことはないですが、改めて考えると、私たちがしていることは普段から『旅』と関わっていたんだなと感じますね」と話すのは及源鋳造株式会社(以下OIGEN)の関根涼さん。
出身地である埼玉県を離れ、OIGENに入社した関根さんは企画・広報担当を務め、イベントの企画や台湾へのマーケティングを行っています。

 

大学を卒業してすぐに入社した関根さんは、OIGENに務めて現在3年目

Walk on SoilプロジェクトパートナーであるOIGENは創業から160年以上の歴史をもつ鋳物屋。伝統的な職人技を継承することに加え、鋳物独特の質感や美しさ、素材の強さなどといった鉄器本来の魅力を広く伝えたいと、海外進出や独自技術の開発に取り組んでいます。また、自社でディレクションを行い2015年に工場内の直売所「 FACTORY SHOP」をリニューアル。南部鉄器をより身近に感じることができると、これまでより若い世代や遠方から訪れる方が増えたと関根さんは言います。

「奥州市を知っていてというより、OIGEN目掛けて訪れてくれる方が多いです。なので、OIGENを通して、奥州市のことを知ってもらえる。お客さまには市内近隣のショップリストを配布したりと、この地域を知ってもらう入り口になることができればとも思っています」

OIGENの商品は、オンラインショップでも購入が可能。お店に訪れることなく購入できる仕組みを整えていながら、FACTORY SHOPへの客足は絶えません。
「単にモノを使いたいだけであればわざわざ産地に訪れる必要はないと思うんです。けど、OIGENの鉄器に対して、単なるモノ以上の気持ちを感じてもらえているからこそ『作られている場所に行ってみたい』という気持ちになってもらえているのかな。鉄器の見た目や質感がそうさせることもあると思うのですが、長く使うもので暮らしに密着したものだからこそなのかもしれません」
自らが手間を掛けることで、長い間暮らしの道具として使い続けられる南部鉄器だからこそ、そのルーツを探りたくなることが奥州市を旅するひとつのきっかけになっている。

FactoryShopの店内。鉄器のお手入れ方法や使い方について説明を受けてから購入できることも人気な理由のひとつ

大学を卒業してから、関根さんが奥州市に住まいを移した理由には、「行動が反映される余地があること」が理由だったと言います。
「もともと自分が奥州市にくる時に『みんなが集まろうとしているところで自分がなにかやる』というよりは『少しでも人が必要だと思ってくれるところで働きたい』という想いがありました。実際に会社にとっての行動や考えは反映されていて、自分で企画して仕事ができることも多いです」
関根さんが企画し、開催した「休日の工場見学」。普段の工場見学では職人さんの作業中の様子を見ることができる一方で、職人さんの仕事が優先されることから近づくことができなかったり、直接道具に触れてもらうことができないことにもどかしさを感じていた関根さん。工場が動いていない日だからこそ、これまでと違った視点での工場見学ができる、と考案しました。
「OIGENや南部鉄器自体が旅の目的地となることもあると思います。工場の外にでて、鉄器の原料になっている砂鉄をめぐる旅や鉄器を使った食のツアー、まだまだできることはたくさんありますね」

「ものづくりの現場だからこそ届けられることがある」と関根さん。南部鉄器ができるまでの工程やどんな職人さん達がつくっているのかを知りたいという方は多いそう

鉄器以外の分野でも、奥州市の旅のコンテンツになり得るものは多いと関根さんは続けます。
「Wolk on Soilに携わっている方々は本当に奥州市の魅力だと思うんです。これまでは、訪れてくれた人がそういう人達を知ることがないまま『なんにもないまちだ』と思われていたような気がしています。訪れてきてくれた人と地域の魅力的な人たちをどう繋げていくか。そういった人たちに接する機会があれば奥州市の見られ方がまた変わっていくんじゃないのかなと思っています」
奥州市の旅の可能性はまだ探られ始めたばかり。これからどんなことが生み出されていくのでしょうか。